1872年の小規模発生を収束して以来、オーストラリアで口蹄疫が確認されていない理由として、オーストラリアが他国から地理的に離れているということがあげられます。1872年には英国から輸入された藁を通じて雄牛が感染しました。ウィルスの種類と、その地域にあまり家畜が集中していなかったことが幸いし、この発生は間もなく沈静化されました。しかしこの事件は、オーストラリアがその後口蹄疫の再発を予防するために厳しい予防措置を開発するきっかけとなったのです。オーストラリアは今でも防疫に関しては決して気を緩めることがありません。
厳重な検疫措置と輸入制限を布く事により、オーストラリアへの口蹄疫浸入は防げています。観光業がオーストラリアの主要産業の一つであることを考えると、現在までのところ、税関係員および検疫官のとっている手順が、観光客を通して口蹄疫がオーストラリアに持ち込まれるのを有効に防いでいるといえるでしょう。
農場従事者は、家畜を監視し、疾病の兆候が見られた場合には獣医師や家畜検査官に報告するか、疾病のホットラインに連絡する責任を負っています。農場従事者は「見て、調べて、獣医に尋ねる」というスローガンの実践が求められているのです。
オーストラリアの食肉畜産業界は、オーストラリアに口蹄疫が浸入した場合の対応強化という役割も担っています。業界は、口蹄疫緊急時対応計画(豪州動物緊急時計画)の最終調整にも関与し、撲滅プログラムの意思決定および戦略管理プロセスにも参加しています。更に業界は、一般消費者を対象とした意識向上プログラムや撲滅プログラムの費用にも貢献しています。感染によって打撃を受けた人々に対する補償は官民が費用を負担しあうことで合意しています。従って、こういった防疫措置をかいくぐって万が一口蹄疫が浸入したとしても、時間のロスは最小限に抑えられます。緊急時対応計画はすでに合意されており、ことが起こってから交渉のために時間を無駄にする必要がないからです。その代わりに政府担当者は、即時に感染症封鎖のための作業にかかれるというわけです。
オーストラリアは、万が一口蹄疫が上陸しても十分な準備を整えています。
連邦政府レベルで採択され、州が実施を任されている豪州動物緊急時計画は、口蹄疫またはその他の家畜感染症がオーストラリア内で検知された場合の対応措置を記述したものです。口蹄疫に関しては、経済的な打撃を抑え、かつ短期間で収束するために、以下のような戦略がとられています。
- 感染獣のと殺
- 隔離と移動制限
- 施設の汚染除去
- 追跡と監視
- エリア設定
- 意識向上キャンペーン
市場を混乱させる恐れから、口蹄疫の予防にワクチンを使用することは好ましくありません(市場によっては、ワクチンを受けた牛は感染牛とみなすところもあります)。しかし、もし口蹄疫が広範囲にわたって広がってしまった場合には、ワクチンが使われる可能性もあります。そのような事態に備え、オーストラリアは口蹄疫ワクチン入手の手配も済ませています。